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馬場 祐治; 下山 巖
no journal, ,
全反射X線光電子分光法(XPS)および全反射X線吸収微細構造法(XAFS)により、酸化物表面に吸着した極微量セシウムおよびストロンチウムの化学結合状態を調べた。試料には土壌中において放射性核種の主な吸着サイトと考えられている層状酸化物(雲母)を用いた。全反射XPSの検出限界は、セシウムで約100ピコグラム(200ベクレルのセシウム-137に相当)、ストロンチウムで約150ピコグラム(300ベクレルのストロンチウム-90に相当)であった。種々の吸着量におけるストロンチウムの全反射XPSおよび全反射XAFSスペクトルの主ピークは、吸着量の減少とともに低エネルギー側にシフトした。ストロンチウム化合物の内殻軌道エネルギーは、結合の分極が大きくなるほど低エネルギー側にシフトすることから、ストロンチウムは微量になるほどイオン結合性が強い状態で吸着することを明らかにした。
塚田 千恵; 吉田 光; 小川 智史*; 吉越 章隆; 八木 伸也*; 矢板 毅
no journal, ,
溶液中の放射性Csを高密度・高効率に捕集可能な吸着剤として、液中プラズマ法で作製した清浄表面を持つAuナノ粒子に着目した。我々は、CsをAuナノ粒子表面に吸着させる、もしくは、L-システインをナノ粒子表面に吸着させた後にそのシステインとCsを相互作用させる、という捕集方法を考えた。後者の方法の試料に対する放射光XPSの結果から判断して、Auナノ粒子表面のシステインのCOOH基がCsと相互作用していると示唆された。
岡本 芳浩; 高野 公秀; 赤堀 光雄
no journal, ,
種々の核燃料物質試料の取扱いが可能なビームラインにおいて、様々なウラン酸化物試料のXFAS分析を行い、この先のデブリ関連試料の分析を念頭に置いた試験を実施した。XANESスペクトルでは、ウランが6価をとるUO、4価のUO、3価のUClの順にホワイトラインが低エネルギー側にシフトする様子が認められた。また、動径構造関数では、最近接U-O対の距離、U-U対の距離と秩序において、各試料の特徴が確認できた。これらの標準物質の結果は、L吸収端XAFS測定を実施することで、デブリ試料中の原子価と局所構造の分析が可能であることを示している。
本田 充紀; 岡本 芳浩; 下山 巖; 塩飽 秀啓; 鈴木 伸一; 矢板 毅
no journal, ,
福島の汚染土壌減容再生利用技術の開発には土壌中の粘土鉱物に固定された放射性Cs除去が必要不可欠である。我々はCs収着能力が高い風化黒雲母(WB)から反応促進剤として混合塩(NaCl-CaCl)を用いてCsを除去する際の除去過程についてその場観察(in situ XAFS)を行い加熱中のCs局所構造変化をSPring-8 BL-11XUにおいて実施した。In situ XAFS測定により得られたスペクトルについて、フーリエ変換により得られる動径分布関数を比較した。混合塩無添加の場合一連の加熱処理において変化が見られず、CsはWB中に保持されていることが分かった。一方混合塩添加の場合、室温から400Cまでは2.0のピーク(Cs-O)に変化が見られなかったが、500Cから700Cまで徐々に長距離側へのシフトを確認し、加熱後室温に戻した時、その距離が2.9となり完全に異なる構造を観測した。このピークについてCsCl+NaCl-CaCl試料と比較したところ2.9とよく一致することからCs-Cl結合の形成を確認した。加熱後に混合塩を除去した試料のex situ XAFS測定とXRF測定から得られた結果をもとにCs除去率を算出した結果と合わせて検討したところ、Csは高温過程でWBから除去され除去されたCsは塩中に取り込まれることが分かった。
下山 巖; 本田 充紀; 小暮 敏博*; 馬場 祐治; 岡本 芳浩; 千葉 慎哲; 矢板 毅; 鈴木 伸一
no journal, ,
福島における放射性Cs汚染土壌問題に対し、我々はアルカリ塩添加と低圧環境での加熱処理により、粘土鉱物(福島風化黒雲母: WB)からCsが大幅に減少することを見いだしたがそのメカニズムの詳細はよくわかっていない。そこでWBの組成及び構造変化をXRF, XRD, TEM, NEXAFSにより分析した。NaCl-CaCl混合塩を重量比1/1でWBに添加し、低圧加熱処理を行った後に蒸留水で余剰のアルカリ塩を除去した。Csは600Cで11%、700Cで0%に減少した。また、Csと共にKの減少も観測された。一方、CaとClは温度と共に増加する傾向を示した。XRDパターンは500Cから新たなピークが現れ、700Cでは粘土鉱物のピークが消滅すると共に複数の新たなピークが観測された。またTEM分析により、その主成分がワダライトと普通輝石であることがわかった。これらはその結晶構造においてサイズの大きい1価カチオンを含むことができないため、化合物形成と共にCsが除去されることになる。またCa及びCl K端NEXAFSスペクトルが加熱処理時の大気圧・低圧環境下で異なり、生成物に影響することを見いだした。我々はこれらの結果に基づいてセシウムフリー鉱化法という新たな土壌除染のアイデアを提案する。
米田 安宏; 尾原 幸治*
no journal, ,
局所構造解析手法の一つである2体相関分布関数法(atomic pair-distribution function, PDF)は大型放射光施設SPring-8においては偏光電磁石ビームラインで実施することが可能である。光学系の異なる2つのビームラインにおいて同一のサンプルを測定し、得られた結果を吟味した。その結果、通常の局所構造解析においては、ほぼ同等のデータが得られることがわかった。しかしながら、入射X線の分解能からリートベルト解析には違いが生じており、注意が必要である。
菖蒲 敬久; 城 鮎美*
no journal, ,
金属材料を変形させると転位が発生し、これが起点となり構造物の疲労破壊が起こる。本研究では、回折法によるラインプロファイルを利用した解析法による転位密度評価を負荷中の鉄鋼材料に対して実施し、その信頼性を評価した。実験は、SPring-8、BL22XUを用いて実施した。負荷した状態のSUS316L鉄鋼材料からの複数の解説プロファイルを測定し、ラインプロファイル解析により転位密度を算出した結果、負荷の小さい弾性変形領域では、もともと導入されている転位密度がほぼ同じ量で発生しているのに対して、負荷の大きい塑性変形領域では転位密度がほぼ単調増加していることを明らかにした。
菖蒲 敬久; 城 鮎美*; 鳥本 和弘; 村松 壽晴
no journal, ,
レーザーコーティングとは、従来の肉盛溶接を、レーザーを利用することでより薄くコーティングする新しい溶接技術である。本研究では、放射光X線を利用したイメージング法、及び回折法を適用し、「軽い・薄い(価格が)安い・強い・長持ち」といったユーザーニーズに応えるデライト設計ベースの工業製品開発およびそれらを実現するためのコーティング装置に必要なレーザーコーティング技術を確立するための基礎研究を行った。実験は、SPring-8、BL22XUを用いて実施した。0.2mm銅球が基板上に広がる時間とレーザー出力との関係をイメージング法により観察した結果、銅球と基板の融点を比較した場合、銅球<基板ではレーザーが低出力ですぐに基板上に広がるのに対して、銅球>基板ではレーザーが高出力でないと基板上に広がらないことを明らかにした。一方、噴出時の金属球の温度分布測定で得られたFe111回折プロファイルより温度を算出した結果、レーザー照射される3.5mmと比べて、レーザー照射域を通過したそれ以外では高温領域で回折プロファイルの裾が広がっていることから、金属球は高温状態(一部液体状態)であることを明らかにした。
稲見 俊哉*; 大和田 謙二*; 菖蒲 敬久
no journal, ,
永久磁石などの強磁性体の内部の磁区構造については、意外にも適当な観察手法が存在しない。本研究では、集光性に優れ微小領域測定に適した放射光を用い、加えて侵入長の長い高エネルギーX線を利用することにより、磁性体内部の磁区構造の観察が可能な顕微磁気測定法を開発する。実験はSPring-8 BL22XUで行い、試料はストライプ状に着磁された鉄の薄板状の高配向結晶を用いた。入射X線のエネルギーは17.4keVを選択し、Si(880)チャンネルカット結晶を通して直線偏光度を向上させた。直線偏光はダイヤモンド移相子(diamond(440))で楕円偏光に変換し、屈折レンズで試料上に集光した。集光サイズは20マイクロメートル弱と推定する。磁区観察にはFe(440)反射を用いた。試料を磁区ストライプと直交方向に50マイクロメートルステップで走査し、左右楕円偏光の反転比を求め、おおよそプラスマイナス1.5%の磁気効果が観測された。磁気効果が十分大きくなく測定点が荒れる、バイアスが載ってしまう、といった問題はあるものの、それらしい磁区構造が得られた。